専門性を高めてもキャリアにつながらないケースが多くあります。業務に関係のある資格を取得しても、それが実務の中で生かされていないというわけです。その理由に、専門的なスキルの他に基本的なビジネススキルが必要であることが挙げられます。資格といったスキルは勉強した分だけ確実に身につけることができます。けれども基礎的なビジネススキルというものは、座学では備わりにくいものです。日々の業務への取り組みの中で、自分なりの課題をもって臨まなければ身につけることが難しいのです。
具体的には洞察力や交渉力、説明力といったものがあります。物事を分かりやすく説明するためには、本質を捉える力も必要になります。このような能力は、テキストで勉強してもなかなか備わりません。実際に仕事の中で発生する課題や問題に取り組むことで、少しずつ備わっていきます。その上で、資格取得などによって高めた専門的スキルを発揮できるのです。それがより高度な仕事への取り組みを可能とし、キャリアにつながっていきます。
その点を理解していなければ、単に資格を取得するだけで終わってしまいかねません。キャリアを高めるために、他の人にはできない専門性を積み上げることは必要です。けれどもそれを生かす土台となる能力は、日々の取り組む姿勢の中でしか高めることができません。その方法に関しては自分で見つけ出すしかないのです。いかに些細なことでも問題意識を持って取り組むことができるかで、基礎的能力を備えるか否かが決まります。